親権者と未成年の子の利益相反行為および特別代理人の選任

未成年の子と親権者の利害関係が対立(利益相反)し、親権者による公正な親権の行使が期待できない場合には代理権の行使は制限され、特別代理人の選任が必要です。

未成年の子の犠牲のうえで親権者が利益を得ることを防止することによって子の利益を保護することが目的です。

どのような行為が利益相反行為になるかは、行為の外形から判断されます。

 ・未成年の子から親権者に対する贈与は、利益相反行為にあたります。

 ・親権者と未成年の子の間の不動産や債権などの譲渡行為は、利益相反行為に当たります。

 ・親権者を主債務者とし未成年者を連帯債務者、連帯保証人、物上保証人等とすること
  は、利益相反行為に当たります。

 ・親権者と未成年の子の両方が相続人である場合の遺産分割協議、相続放棄などについて
は、行為の外形だけから形式的に利益相反行為であると解し、特別代理人の選任が必
要です。

利益相反行為に当たらず特別代理人の選任が不要である場合を述べます。
 
 ・親権者から子に対する贈与

 ・未成年者自身が第三者との関係で債務を負担する場合に、当該消費貸借契約を代理す
する場合
 
同一親権に服する一人の子とたの子との間で利益が相反するときには、一般的に親権者に公正な親権の行使を期待することができないので、親権者が一方の子のために特別代理人の選任を家庭裁判所に請求する必要があります。

特別代理人の選任の手続きは、親権者のみではなく子の親族その他の利害関係人が特別代理人選任申し立て書に利益相反行為の内容等を記載して、家庭裁判所に提出することになります。

特別代理人選任の審判の管轄は子の住所地の家庭裁判所となるのが原則ですが、関連事件が子の住所地以外の家庭裁判所に係属している場合は、関連事件担当裁判所に上申書を提出して、その家庭裁判所に申し立てをすることができます。

特別代理人に選任される者の資格に特に欠格事由はなく、親権者らの申立人の推薦する者の中から裁判所が選任します。

特別代理人と未成年子の間に利益相反関係がある場合には特別代理人はその権限を行使することはできません。

特定の事項の終了により、さらに子が成年に達したり結婚したりして親権者の親権が消滅することによって、特別代理人の資格は消滅します。