
悪意の遺棄とはどういうものか?
離婚原因になる悪意の遺棄とは?
夫と妻が両者ともに負担するルールとして、夫と妻は同居、協力、扶助の三つの義務を遂行しなければいけないことになっているのです。
上に記載した3つの義務を正当な理由なく故意に履行しないことを、法律用語では「悪意の遺棄」と呼んでいます。
法律( 民法の752条に記載されています。)にも「夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない」と掲げられています。
この同居、相互協力、相互扶助の義務に正当な理由無く違反するという事を「悪意の遺棄」と呼ぶのです。
簡単に説明すると、夫婦喧嘩をきっかけにして、お互いの顔を合わせることすら嫌悪感を感じるようになったからという理由で、いつの間にか自宅を飛び出して舵を投げ出したという事であるなら、そのような行動を行った人は同居義務違反となって、法律上の「悪意の遺棄」に該当する可能性がありますので十分に行動には気を付けるようにしてください。
更には、同居していたとしても、病気で寝込んだ配偶者(夫または妻のことです)を長きにわたり放ったらかしにしたり、自宅に生計費を渡さないようですと、協力義務違反になり、これも法律上の「悪意の遺棄」に該当する可能性もあります。
悪意の遺棄に該当する可能性はどのようなものか?
・配偶者(夫または妻)としての対応をしないで生活費を夫または妻に与えない(経済的なDVであると現在では判断される可能性も高いでしょう。) 。
・きっかけも見受けられないというのに同居を拒絶すること。
・家出を何回もする。
・夫または妻が何も理由も無いにもかかわらず自宅以外の不動産を借り上げて日々を過ごしている。
・配偶者(夫または妻)がもう一方の配偶者を虐めたりして追い出したり、自宅を出ざるを得ないようにしむける。
・生活費は毎月定期的に送ってくる(口座へ振り込みを行っている)が、愛人(浮気相手・不倫相手)宅にいりびたってなかなか自宅には帰ってこない 。
・姑や舅との折りあいが険悪で実家に帰宅した状態が続いている。
・毎月の生活費を渡す約束で別居の承諾をしたのに別居をしてしまった後には生活費を渡さない。
・健康で病気でもない夫または妻が就職活動をせずに一向に働こうとしない 。
・単身赴任の夫が妻子の毎月の必要な生活費を送金をしてこない。
悪意の遺棄に該当しない可能性とはどのようなものがあるか?
・仕事上で避けることのできない出張であったり、勤務先での転勤が理由となる単身赴任による別居。
・うまくいかなくなった夫婦関係を調整するための冷却期間を置く別居。
・子どもの進学など教育上で必要となる別居。
・病気の治療のための避けられない別居。
悪意の遺棄が行われている場合、状況の解決を行うには2種類のやり方が存在します。
1つ目は、円満調整・夫婦関係円満調整による調停です。
関係修復の調停がうまくいったケースであっても扶助義務などを果たさなかった場合、強制執行することにより、悪意の遺棄をしているものに対して資産を差押さえ、競売をすることによって、悪意の遺棄を受けている方の生活費にすることができることになります。
2つ目は、離婚という方法です。
離婚するのであれば、原則的には、協議離婚で行うことになります。
協議離婚が成立しなかった場合には調停を経てから、離婚訴訟という順番となっています。
こちらの内容も参考にしてみてください➡「夫がリストラ後働かないので別れたい」