
離婚手続きにおける安全確保
離婚手続きにおける安全確保
ここでは離婚手続きをする場合の安全確保について考えていきます。
離婚をするということは、これまで一緒に過ごしてきた相手と別れることですので、相手が攻撃的になることもありますので、これまではそうでなかったという相手であっても安全確保の手段を考えて行動することは、あなた自身を守るために非常に大切な事であると理解して行動するようにしましょう。
協議離婚の場合
第三者を介して、あるいは郵便でのやりとりにより、妻が直接夫に合うことなく離婚届を作成することは可能です。
夫に避難先を隠匿している場合には、離婚届の返送先を代理人である弁護士の事務所宛にすることもできます。
夫が協議離婚に応じない可能性が高い場合や、第三者や代理人である弁護士に危害を加えるおそれがある場合には、協議離婚を試みることなく、直ちに裁判所の手続きを利用するべきでしょう。
離婚調停の場合
離婚調停では、危険性の度合いに応じて、裁判所内や裁判所への行き帰りに当事者双方が顔を合わせることがないようにするなど、様々な配慮をしてくれますので安全性は高いといえるでしょう。
申立書に、離婚の原因が夫の暴力にあること、保護命令が出ている場合にはその旨、夫が裁判所で暴力行為に及ぶ可能性があることなどを記載するほか、期日前に裁判所書記官と連絡をとり、妻の身の安全のために、どのうような配慮が必要か事前に細かく打ち合わせをしておくことが安全確保のためには大切なことであるといえます。
夫に避難先を隠匿している場合には、その場所を調停申立書に記載するのは危険ですので、送達先を確保するため、代理人である弁護士を依頼することが必要となります。
代理人である弁護士に依頼した場合には、調停の進行次第では、申立人本人は調停期日に出頭しなくて済む場合もあります。
離婚調停成立時には出頭しなければなりませんが、その場合にも夫と顔を合わせることがないように裁判所側も配慮してくれます。
離婚調停では、離婚調停の成立または不成立に至るまで、夫と顔を合わせることなく手続きを進めることができます。
DV事案の場合、加害者に自覚がなく、調停期日を重ねても、結局合意に至らないケースが多いので、早めに不成立とする決断も必要です。
離婚裁判の場合
夫が調停期日に出頭せず、又は離婚(離婚に伴う条件)に応じない場合には、調停は不成立となり、裁判を提起することになります。
裁判では、代理人である弁護士がいる場合には、当事者本人の出頭が必要な手続きは限られていますので、裁判になったからといってそこまで普段が増えるわけではありませんので不安になる必要はないでしょう。
出頭する場合でも、調停のときと同様、危険性の度合いに応じて、裁判所内や裁判所への行き帰りに当事者同士が顔を合わせることのないよう、様々な配慮をしてくれます。
離婚訴訟の場合には、ほとんどのケースで本人尋問が行われます。
離婚裁判を起こしている妻だけでなく、裁判を起こされた側である夫も当時者として出廷する権利がありますので、妻が証言するときに、法廷内の被告(原告)席にいる夫と顔を合わせることになります。
尋問を行う場合には、できる限り短時間にとどめるなどの配慮をしてくれます。
証人席と被告(原告)席はかなり近接していますので、証言者の安全を確保するため、法廷内に警備員を配置してくれます。
事案によっては、被告(原告)席と証人席の間に事務官を配置してもらったり、遮蔽物を置くよう求めることも考えられます。
ただし、遮蔽物を置くのは、被告に代理人である弁護士がいる場合に限られるとする見解もありますので裁判によって変わることがあることは理解しておきましょう。