
別居後の生活の維持
別居後の生活の維持
DV被害者が不安に思っているのは、「経済的なこと」が最も多く、続いて「加害者の追跡」「仕事」「住宅」となっており、生活上の不安が目立っております。
配偶者暴力相談支援センターの業務として、自立支援に関し
①自立促進のため、就業の促進、住宅の確保、各種援護制度の利用についての情報の提供、助言、関係機関との連絡調整その他の援助
②居住させ保護する施設の利用についての情報の提供、助言、関係機関との連絡調整その他の援助
を行うように定められています。
福祉事務所は、生活保護法、児童福祉法、母子及び寡婦福祉法その他の法令の定めるところにより、被害者の自立を支援するために必要な措置を講ずるよう努めなければならないうるjとされております。
保護の対象となる暴力を理解しましょう
保護の対象となる暴力には、身体に対する暴力だけでなく、これに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動も含まれます。
脅迫、暴言、長時間にわたる説教などの精神的暴力や生活費を渡さないなどの経済的暴力を受けていた場合も、保護命令以外は、同様の保護が受けられます。
1.生活保護
一時保護施設を出た後、収入も蓄えもない場合、生活保護を受給することができます。
生活保護には、生活扶助、教育扶助、住宅扶助、医療扶助、介護扶助、出産扶助、生業扶助、葬祭扶助があり、最低限の生活を維持することが可能です。
生活保護は、通称名や住民票所在地以外でも受給できます。
DV被害者の場合、夫と離婚していなくても、夫の収入や扶養の意思とは無関係に、受給が認められます。
2.児童扶養手当
父母が婚姻を解消した児童や父が引き続き1年以上遺棄している児童等を監護する児童の母又は養育者には、児童扶養手当が支給されます。
「児童」とは、18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある者等をいいます。
児童扶養手当についても、通称名(通名)や住民票の所在地以外でも受給できます。
DV被害者が子を連れて家を出た場合には、遺棄の認定にあたり、別居期間、母の離婚意思等が考慮されますが、都道府県によって認定に難易があるようです。
3.住宅の問題
(1)婦人保護施設
婦人保護施設は、都道府県や社会福祉法人などが設置している施設です。
家庭環境の破綻や生活の困窮など、様々な事情により社会生活を営むうえで困難な問題を抱えている女子が保護の対象です。
(2)母子生活支援施設
母子生活支援施設(かっての母子寮)は、配偶者のない女子又はこれに準ずる事情にある女子及びその者の監護すべき児童(18歳未満)を入所させて、これらの者を保護するとともに、これらの者の自立の促進のためにその生活を支店することを目的とする施設です。
母子生活支援施設においては、母子を保護するとともに、その自立を促進するため、それぞれの母子の状況に応じ、就労、家庭生活及び児童の教育に関する相談及び助言を行う等の支援も行っています。
(3)宿所提供施設
社会福祉法に基づいて設置されている施設と生活保護法に基づいて設置されている施設があります。
母子生活支援施設と違い、未成年の子の有無にかかわらず利用でき、生活相談や自立支援も行っています。
(4)公営住宅
公営住宅とは、地方自治体が低所得者向けに低額で貸し出す公的賃貸住宅です。
自治体によっては母子世帯に優先入居枠を設けているところもあります。
DV被害者も公営住宅への入居が可能となりました。
4.就労の問題
公共職業安定所(ハローワーク)では、母子家庭のために専門の職員が就職に関する相談・指導を行い、適正に合った事業所へ職業紹介を行うとともに、公共職業訓練施設等における職業訓練のための手当を支給する等の援助が行われております。
各都道府県に設置されている女性就業援助センターでも、就業相談のほか、職業訓練や講習会が行われています。
各自治体に母子自立支援員が配置されており、母子家庭等就業・自立支援センターでも、就業相談、就業支援講習会がおこなわれております。
配偶者暴力相談支援センターや福祉事務所にも、DV被害者に対し、就業促進のための情報の提供、助言、関係機関との連絡調整その他の援助を義務付けております。
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