
年金分割は熟年離婚のメリットか?
年金分割制度導入で増加傾向になった熟年離婚
2008年の4月から導入された、「離婚時の第三号被保険者期間についての厚生年金の分割制度」(通称は年金分割制度と言われています。)によって、法律が施行された以降の第三号被保険者期間についての年金は自動的に分割されるようになりました。
すべての年金が分割されるわけではない
年金分割に際して注意しなくてはいけないことがありますので、覚えておきましょう。
2008年4月までの期間に相当する年金に関しては、分割制度が導入される前と同じように2人が合意するか、または合意できないのであれば裁判で決着をつけないと年金額をどのように分割するかは決めることはできません。
例を挙げますと、年金分割制度が導入される前から結婚していたとして、その期間が20年であれば、結婚してから年金分割制度が導入されるまでの期間の20年は自動的に半分に分割されることはなく、分割されるのは制度が導入されて以降の結婚生活の年月だけが年金分割の対象となるのです。
年金分割はこれからの世代に向けた制度
年金分割は現在結婚していて、数十年も家庭を営んできた夫婦を目的にしたものではなく、これから結婚するであろう夫婦のための制度として導入されたものであることを覚えておきましょう。
20代、30代の夫婦が数十年後に離婚するときになって、お互いの離婚後の生活に支障がでないようにと考えられたものなので、決して熟年離婚を誘発させるために作られた制度ではないのです。
分割の際の手続きを理解しておこう
実施に離婚することになって年金分割をすることになる場合には、お近くの年金事務所(厚生年金の場合です)に行って保険料納付記録などを変更または改定するための手続きが必要になってきます。
年金分割制度が導入される前の第三号被保険者期間の期間については(上記の例では20年の結婚期間がこの部分に当てはまります。)、離婚してから2年以内に請求をしなければいけないことを忘れないようにしましょう。
もし忘れていて2年を過ぎてしまうと、あとで請求しても分割は認められることはありません。
また年金の分割を1度年金事務所に申請しますと、後日になって分割割合の変更を申し出ることもできませんので、年金分割を行う際には、あとで後悔や揉め事にならないように慎重に行動するようにしてください。
分割割合が2人でいくら話し合ってもまとまらないのであれば、裁判所に調停を申し立てることになります。
原則として相手方(夫ならば妻、妻ならば夫ということですね)の住所を管轄する家庭裁判所で手続きを行うことになります。
こちらの内容も参考にしてみてください➡「夫が年金受給者だが離婚で年金分割される?」