財産分与と譲渡所得課税

財産分与と譲渡所得課税

財産分与と譲渡所得課税

離婚に際し、財産分与として不動産等の資産を移転する場合は、譲渡所得の課税対象となり、所得があれば分与者に納税義務が発生します。

離婚に伴う財産分与の場合には、実際に代金の受け取りなどもないのに、譲渡所得課税の対象となることについては、一般の国民的な感情としては理解し難いところがあるのは間違いないでしょう。

実際上も、財産分与に伴う納税資金が用意できないことが離婚成立の障害になっている事例も多くみられます。

税額計算

離婚に際し、財産分与により不動産等の資産が移転された場合は譲渡所得家財の対象となります。

不動産が自宅として居住の用に供されていたか否か(実際に生活の拠点として利用して住んでいたかどうか)により、税金が課税されるかどうかも異なり、課税される場合も税金の金額が違ってきます。

個人が資産の譲渡によって得た利益(譲渡所得)には所得税が課されます。

資産が取得時より値下がりした場合には損をしているわけですので、所得税は発生しませんので税金がかかることはありません。

特に古くから所有している不動産で取得費用が少ない場合には、税額も大きくなる場合がありますので、不動産の財産分与については、あらかじめ税金の負担をどのようにするかを念頭において話し合いをすることが後のトラブルを防止するためにも非常に重要であるといえるでしょう。

不動産の譲渡所得については、他の所得と分離して税額を計算することになっています(分離課税といいます)。

それ以外の資産の譲渡の場合は他の所得と総合し、一般の累進税率によって計算されます(総合課税といいます)。

不動産を譲渡所得について理解しよう

不動産の譲渡所得は、譲渡した年の1月1日において所有期間が5年を超えるか超えないかで税率が異なります。

所有期間が5年を超えない短期譲渡所得の場合は、所得税が30%、住民税が9%ですが、所有期間が5年を超える長期譲渡所得の場合は、所得税が15%、住民税が5%です。

譲渡所得の計算は、短期長期とも共通で、譲渡収入の金額から必要経費(取得税+譲渡費用)を差し引いた金額となります(特別控除は廃止されています)。

財産分与の場合、譲渡収入の金額とは分与財産の時価になります。

取得費は、原則として資産の取得価格に設備費・改良費を加え減価償却費相当額を差し引いた額ですが、実際の取得価格が分からないときや、実際の取得費よりも譲渡価格の5%の方が多いときは、譲渡価格の5%が取得費となります。

資産の評価方法、減価償却費の計算方法、譲渡費用、所得控除の可否等の詳細は、税務署や懇意にしている税理士等の専門家に相談してみてください。

財産分与として居住用財産を譲渡した場合は、3000万円の特別控除が受けられます。すなわち、居住用財産であれば、3000万円以上値上がりしていなければ税金はかからないことになります。

譲渡した年の1月1日において所有期間が10年を超えるものは、3000万円控除後の譲渡利益に対する課税についても税率が軽減されています。

家屋に所有者が居住していない場合の特例

夫婦が別居し、その家屋に所有者が居住していない場合であっても、

①所有者が従来居住の用に供していた、

②その扶養家族が居住の用に供している、

③所有者が現に生活の拠点として利用している家屋がその所有者の家屋でないこと

等の要件を満たせば、特例を受けることができます。

実際にあなたが特例を受けられるか否かの判断は、専門家に相談するほうが間違いがありませんので相談をしたほうが安全であるといえるでしょう。

1人で悩んでいるあなたへ

離婚の問題は1人で悩んでいては進まないケースが非常に多いものです。

心理学的なアプローチからも1人で考えるよりも第三者と話をすることで、自分の考えがまとまってくるということがありますので、まずはお気軽に相談いただければと思います。

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