
妻のDVに苦しむ夫が増えている
DV被害者は妻だけだと思っていた
今回は最近よく問題になるDV(ドメスティックバイオレンス)についてです。
夫が妻からドメスティックバイオレンス(DV)を受けるケースが増加
ドメスティックバイオレンス(以下DV)と聞くと、多くの方は妻が夫から受けて苦しんでいると思われるのではないでしょうか。
実際にDVが社会問題になった当初は、夫から暴力を受けて公的機関などに助けを求める妻のケースが大半であったようです。
しかし現在は夫が妻からDVを受けているケースも増加してきており、警察への相談も年間で7,000件ほどと、決して見過ごせない数になってきています。
ただ、男性の外に相談するのが難しいといった心情を考えると、本当に妻からのDVで苦しんでいるの方は警察へ相談している7,000件よりも現実は間違いなく数倍は存在していると考えてもいいでしょう。
「男ならそれくらい我慢すべきだ」や「自分の恥を周囲に軽く話すようなことはするな」などのように子供のころから教育されてきた男としての美学やプライドが相談をしたい気持ちを邪魔してしまい、なかなか本音を吐き出せない人はあなたの周囲を見渡してみてもたくさんおられるのではないでしょうか。
ある例の男性は妻の豹変に非常に驚いてしまったということです。
「一度怒りのスイッチが入ってしまうと男の自分でもとても止められなかった。一方的に暴言を吐かれ、殴られて精神的に完全に疲弊してしまった」
この男性は離婚をするまでには協議では成立することなく、結局第三者を入れての調停でようやく離婚が成立し、妻のDVから解放されたということです。
ここ5年で夫がDV被害者のケースは2倍以上に増加している
先程の男性のケースを詳しく見ていきましょう。
全くDVを行うような女性に見えなかった男性の妻が豹変したのは、結婚から数か月経過したときのことでした。
妻が金銭にルーズで、今後の結婚生活で子供が生まれてからのお金やマイホームを購入するために貯金していたお金を男性に無断で使いこんでしまったので男性が注意したのがキッカケでした。
「あんたの稼ぎが少ないから私が貯金を使ってしまうんだ!!」
と自分の非を謝罪することなく逆上されたのが、男性がDVを受けることになる始まりだったようです。
一度逆上して怒鳴って以降は、妻の態度は一変して口調は明らかに高圧的に変化したそうです。
男性が少しでも言い返すと蹴られ、金属製の鍋でたたかれるようになりました。
男性がDVを受けるという認識が世間ではあまり認知されていないためか、男性が知人に相談しても、知人は「彼女がそんなことをするはずはないだろう」と信じてもらえなかったようです。
このように、女性が男性に対して暴力をふるうようなことは基本的には考えられないという世間一般の人々の認識の低さというものが、実際として女性のDV被害者と比較して男性のDV被害者が苦しむことになる大きな原因だと考えられています。
寄り添う離婚コンシェルジュでは、そのような男性が相談しやすいような環境を整えていくことも大切なことだと考えています。
妻の暴力は、その後もどんどんエスカレートしていきました。
食事には洗剤を掛けられたり、真冬のバルコニーに一晩中閉じ込められて体調を崩したり、ひどいときには失神して意識を失うほどになるまで首を絞められたこともあるようです。
命の危険を感じて、もう一緒にいるとだめだと感じた男性は家から逃げ出して、専門家に相談したようです。
その後は離婚調停にまでもつれ込んだものの、離婚は成立して現在は平穏な暮らしをされているようです。
警察庁のデータによりますが、全国の都道府県の警察が2019年(令和元年)に確認した(相談を受けた数と実際に警察に通報があった数の合計になります)配偶者からのDV被害は、男女合わせて合計で82,207件となっています。
この中で、男性(夫や彼氏)が被害者となったケースは17,815件で全体の21.7%になっていますので、DV被害者の5人に1人は男性である事実が、警察庁のデータからも明らかになっているのです。
ここ数年で、男性(夫や彼氏)が被害者となるケースは激増している模様ですが、先ほども指摘しましたが、男性が被害を訴える割合が女性よりも相対的に低いことを考えると、増加率はデータで示されているものとは大きく違っていると考えて間違いないでしょう。
DVだけてなくモラハラも多い
理不尽な理由で罵倒する、夫の分だけ食事の準備や洗濯を無視するなど、直接暴力を伴わないモラルハラスメント(以下モラハラ)も増加しているようです。
自宅のバスルームやトイレを使わせず、銭湯や公衆トイレに行くように命令する妻、自分が行っているDV行為を周囲にばらされないための口止めとして、脅迫めいた言葉で夫を委縮させる妻など、女性である妻は力では夫にはかなわないので、モラハラで夫を精神的に追い詰めていくDVが多いようです。
ある自治体が、自治体のDV相談窓口を利用した男性に、ここに来るまでに誰かに相談したかどうかを尋ねたところ、半数近い男性が一度も誰にも相談できなかったと話していますので、やはり男性は女性とは違い、他者に相談しにくいという現状があるようです。
男性の被害者は、女性に暴力で屈しているということを恥ずかしいことを感じてしまう方が多く、その恥という思いが他者への相談を思いとどまらせてしまう原因になっているのではと考えています。
DVというのは、女性だけが被害者になるのではなく、男性でも被害者になるのだということを理解していただいて、被害を受けた場合には遠慮なく第三者の専門家に相談をしていただきたいと思います。
最初は、恥ずかしい等の感情からなかなか相談しにくいかもしれませんが、今の生活を変えたいと思うのであれば、一歩足を踏み出してほしいと思います。
被害の状況が分かれば、専門家はいくらでも対処が可能ですので安心して相談していただきたいと思います。
自分のことを守るためにも専門家に相談することは恥ずかしいことでもなんでもありません。
DV被害者のあなたは、1人で苦しむ必要はないのです。
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