
家の跡継ぎという感覚
子どもが一人で家の跡継ぎは?
question
夫婦ともに離婚しても普通に生活できるだけの資産がある状況で、子供は1人いますが、すでに成人して家を離れています。
両方の家が子供に家の跡を継いでもらって、お墓の管理をしてほしいという考えています。
このような場合にはどのようにすれば円満解決ができるでしょうか?
answer
まずは、「家の跡を継ぐ」ということと、「お墓を管理する」ことは全く別のことであると考えるようにしてください。
日本人の大多数が、跡継ぎという言葉を聞いて思い浮かべることは、家でおこなっている事業を引き継いて継続させていったり、子供が男女に限らず名前(苗字)を名乗りつづけることだと感じるのではないでしょうか?
海外は異なるかもしれませんが、日本では企業の大小に限らず、同族企業は次の代表者にどうしても身内を就任させたがる傾向がグローバル化が進んだ現在でも、いまだに強いといえるでしょう。
創業者の方の想いとすれば、自分が苦労して作った会社をなんとかして子供をふくめた身内(血のつながっている人)に経営してほしいというのは、感情面から考えれば正直な気持ちだと思われます。
しかし、事業を継いでほしいといわれた方にしてみれば、本来の自分の得意(好きな)分野でもないものを身のつながりというだけで、言い方に語弊はあるでしょうが、ある意味で押し付けられるというのは迷惑でしかありません。
日本は憲法で職業選択の自由が保障されていますので、どの仕事をするのかはすべて本人の自由なのです。
それでも、子供や身内に事業を渡したいのであれば、親であるあなたの仕事に対する姿をみて、子供が自分で親と同じ仕事をしたいと思ってくれるかどうかが重要なことといえるのではないでしょうか。
親が離婚すれば、子供は父と母の両方の姓(苗字)を名乗ることはできませんし、戸籍もどちらか一方と同じにしないといけません。
どうしても両方の家に跡継ぎを残したいというのであれば、子どもは父親又は母親の姓を名乗り、子供に孫が生まれた場合にはもう一方の家の姓を名乗るというような約束もできるかもしれないですが、生まれてきた子供に家のエゴを強制するようになるような方法は、社会的なモラルから考えてもおこなうべきではないでしょう。
下手をすれば、子供が反発して家の人たちと絶縁されてしまう可能性だってあるでしょう。
お墓を管理するということは、祭祀を継承するということになります。
お墓以外にも、神棚、仏壇、位牌やそれらの状態を維持するための管理費用や、墓地の所有権や借地権などの祭祀財産と呼ばれるものの管理を総称して「お墓の管理」と一般の人は考えていると思います。
この祭祀財産の最大のポイントは、財産であるのに相続の時の財産には含まれないということです。
つまり、亡くなった方の財産を相続したからといっても祭祀財産までは相続したことにはならないということなのです。
祭祀財産はややこしいことに共同で相続をすることもできません。
誰が祭祀財産の管理を行うのかは、地域や宗派の慣習を参考にしておこなわれることが多いようですが、もともとの所有者が、この人を祭祀財産の管理を行うことと指定することはできないのです。
どうしても決定しない場合には、最終的には家庭裁判所に決めてもらうことになります。
しかし、父方であれ母方であれお墓の中で眠っている先祖にとっては、どちらも自分たちの子孫であることに変わりはありません。
お墓の管理であれば、一人っ子の場合なら2つのお墓を管理することは大変かもしれないですが、不可能とまではいえないでしょうから、離婚する際にはお互いに子供にお墓の管理を託すようにしましょうと決めておくと、今後の不安がある程度解消されますのでいいのではと思います。
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