保護命令

保護命令

保護命令

保護命令とは、配偶者(夫または妻)の暴力から被害者の生命・身体を守るため、裁判所が、被害者の申立てにより、一定期間、加害者を被害者から引き離すために発する命令のことです。

保護命令に違反した場合には1年以下の懲役又は100万円以下の罰金が課されます。

裁判所が出す保護命令は、「接近禁止命令」と「退去命令」の2種類

「接近禁止命令」は、被害者の身辺への「つきまとい」や、被害者の住居、勤務先その他通常所在する場所付近での「徘徊」を禁止する裁判所の命令です。

有効期間は2か月間で、やむを家に場合には、再度の申立でも可能です。

元配偶者に対する保護命令及び被害者と同居する未成年の子への接近禁止命令が認められております。

保護命令の要件

保護命令が認められるためには、以下の3つの要件を満たすことが必要です。

①配偶者から、身体に対する暴力を受けたこと。

②配偶者(元配偶者を含む)からの、さらなる身体に対する暴力により、その生命又は身体に重大な危害を受けるおそれが大きいこと。

③子への接近禁止命令を求める場合は、さらに、配偶者が幼年の子を連れ戻すと疑うに足りる言動を行っていることその他の事情があること。子どもに会わせろと強要するような場合や、保育園の前で待ち伏せすることが予想されるような場合等がこれにあたります。

保護命令の申立て

(1)管轄

①相手方の住所の所在地を管轄する地方裁判所
②申立人の住所又は居所を管轄する地方裁判所
③暴力が行われた地を管轄する地方裁判所

保護命令の申し立ては上記で紹介しているいずれの場所にも申立てができます。

(2)申立書面

保護命令の申立ては、書面によることが必要です。

申立書その他の記録は、相手方が閲覧・謄写(コピー)できますので、申立人が避難先等を秘匿している場合には、従前の住所等を申立人の住所として記載するなどの注意が必要です。

申立て書面の記載内容


①身体に暴力を受けた状況

②さらなる暴力により生命又は身体に重大な危害を受けるおそれが大きい事情

③子への接近禁止命令を得たい場合は、配偶者(元配偶者を含む)が幼年の子を連れ戻すと疑うに足りる言動を行っていることその他の事情

④配偶者暴力相談支援センターや警察に保護を求めていた場合は、その旨及び所定の事項を記載します。

(3)提出資料

申立ての際には、申立ての事情を裏付ける資料を提出します。

暴力によりケガをした場合、その診断書又は写真があれば、暴力をふるわれたことの有力な証拠となります。

暴力の直接の証拠が無い場合でも、PTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症した場合の診断書や暴力を受けた際の状況を詳述した陳述書によって、保護命令が認められた例もあります。

(4)審尋の開始

申立てが受理されると、「速やかに」審尋が行われます。

(5)保護命令の言渡し

保護命令は、相手方が審尋期日に出頭した場合には、その場で言い渡され、効力が生じます。

相手方が審尋期日に出頭しない場合には、決定書が相手方に送達されることによって効力が生じます。

保護命令後の警察との連携

裁判所から保護命令が発せられると、裁判所が、その旨・その内容を、申立人の住所又は居所を管轄する警視総監又は道府県警察本部長(警察)に通知します。

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