
強制不妊救済法が成立
強制不妊救済法が成立しました
1948年~1996年まで存在した優生保護法の下で、障害者の方などに強制的に不妊手術が行われていた問題で、不妊手術を行われた被害者の方への反省とお詫びと一時金320万円の支払いを盛り込んだ救済法が、参議院本会議で全会一致で可決されて成立しました。
救済法は国会で成立した日に施行されて、2019年4月25日からは各都道府県の窓口で被害者の方の申請受付が本格的にスタートすることになります。
一時金の支払いがいつからになるかは不明ですが、早い場合には6月から始まるのではないかとも言われています。
障害者の方などに対して強制的に不妊手術を行うことが障害者差別になるとして優生保護法の中に記載されていた「優生手術」の規定が削除されたのが23年も前になりますので、四半世紀近く経過してようやく被害者救済の一歩を踏み出したことになります。
まだ一歩を踏み出したばかりですので、完全に救済が終了するまでにはまだまだ時間が必要でしょうから、あまりにも救済がスタートするまでの法律の制定が遅すぎると言えるのではないでしょうか。
強制不妊救済法の5つのポイント
強制不妊救済法のポイントは5つありますので、以下に紹介しておきます。
現代社会でこのような優生思想を基にした不妊手術が行われることはないとは思いますが、人類は負の歴史を繰り返していますので、夫婦・恋人でもこの事実については知っておくべきだと思います。
①被害者の心身の多大な苦痛に対して法律の前文に「われわれは、それぞれの立場において、真摯に反省し、心から深くお詫びする」との文言が明記されています。
②被害者の申請に基づいて、一時金320万円を支給する。一時金が支給されるのは、法律の施行日時点で生存している本人に限られ、個人や配偶者に対しては支給されることはありません。
③強制不妊手術だけではなく、本人が同意して不妊手術を行ったケースでも救済の対象となります。
④厚生労働省に被害の認定審査会が設置されます。不妊手術をされたという記録がない方の場合は本人の訴えや医師の所見などを参考にして総合的に判断するとしています。
⑤今後差別を繰り返さないために、国会が今回の問題の経緯を調査することとしています。
まとめ
優生保護法下の強制不妊手術の救済法が成立したことは喜ばしいことだとは思います。
ただ上記でも紹介した記録の部分に関しては実際に不妊手術を行ったのは25000人程度いると言われているものの、厚生労働省の記録に残っているのが約3000人程度と記録が残っていない被害者の方が圧倒的に多いことから、国の迅速な対応が求められることとなるでしょう。