離婚届の不受理届

離婚届の不受理申立制度

離婚届の不受理申出制度

協議離婚においては、当事者間(離婚する夫と妻のことであり、両者の親は含まれないことに注意してください)の合意が離婚が成立するための要件になりますが、離婚届の受理に際しての市区町村長の審査は、いわゆる形式的審査主義であるため当事者の離婚意思の有無を調査していません。

※形式的審査主義とは?
形式的審査主義というのは、書面が間違っていなければ問題ないと受け取ることをいい、離婚の場合では離婚届の書き方に問題がなければ受理されるということを意味していると理解していただければと思います。

そのため当事者の一方の意思を無視して他方から一方的になされた届出が受理されることがあります。

当事者双方の合意がないような上記の離婚届は当然無効になるわけですが、この戸籍の記載を消去するためには、これを無効とする確定判決(裁判所が判断を下して決定することをいいます)をへて、戸籍訂正の申請をしなければなりません。

そこで、本人の意思に基づかない無効な届出を防止する方策として離婚届の不受理申出制度があります。

不受理申出の具体的方法

勝手に出される離婚届を市区町村役場の担当者に受理されないように予防するために、あらかじめ「書面」で、自分に離婚意思がないので受理しないよう本籍地の市区町村長に願い出ておくと、あなたの知らない間に出された離婚届が受理されることはありません。

不受理申出の書面は特に決まりがありませんので便箋等でもかまいませんが、市区町村によっては、決まった形の不受理申出用紙が備え付けられていますので、これを利用すると便利ですので事前に問い合わせを行ってみるといいでしょう。

不受理申出の書類は郵送でも受理されますが、口頭や電話での申出は認められませんので注意をしてください。

不受理申出の有効期間は、申出書の受付の日から6か月とされています。

この期間が過ぎても、なお、離婚届が出される心配があるときは再度不受理申出をするようにしてください。

期間が来たら自動的に不受理の期間が延ばされるわけではないことは十分に理解しておかなければ、相手が期間が切れたことを利用して離婚届を出されてしまう可能性がありますので、要注意の点であると言えるでしょう。

不受理申出書が提出された場合の処理

市区町村では、不受理申出書の記載内容や申出より前に離婚届が受理されていないか等の調査をしたうえ、これを受け付け、「戸籍発収簿」に必要事項を記載することになっています。

戸籍調査により、申出の前に離婚届が出されていることが明らかになった場合は、当該申出は受け付けることなく返却されます。

申出を受け付けた後、例えば2,3日前に非本籍地で受理された離婚届が送付された場合には、協議離婚届が受理されたときに離婚が有効に成立していますので、本籍地のある市区町村長は、離婚届が既に受理されている旨を不受理申出書に付記して申出人に返却することになっています。

受理地が異なり、調査しても離婚届と不受理申出の先後関係があきらかでない場合にも、離婚届を優先させ、離婚の戸籍記載をせざるを得ないとされています。

不受理申出の効力

不受理期間内に離婚届が出されたときは、これを不受理として、その欄外に「妻の申出により平成〇年〇月〇日不受理 市長印」と記載されます。

申出届出後に離婚の届出が受理されてしまった場合には、戸籍訂正がなされることになっており、職権で戸籍の訂正がなされます。

戸籍の届出における本人確認等の取扱いについて

当事者の知らない間に偽造の離婚届が出されることがあります。

離婚届の偽造を防止するために、原則として、届出人については、運転免許証・パスポート・マイナンバーカード等写真の添付された証明書の提示を求めるものとされており、写真が確認できなかった届出人については、文書による通知がなされます。

偽造の届出により戸籍が作成されてしまった場合は、戸籍の再製(再度戸籍を作成することです)の申出制度が創設されています。

最後に悩んでいるあなたへ

離婚の問題は1人で悩んでいては進まないケースが非常に多いものです。

心理学的なアプローチからも1人で考えるよりも第三者と話をすることで、自分の考えがまとまってくるということがありますので、まずはお気軽に相談いただければと思います。

お会いしてお話を伺うことで、現状のあなたに最適なアドバイスもできますし、お手伝いをすることもできると考えて居ます。

寄り添う離婚コンシェルジュでは依頼者の幸せを第一にサポートさせていただきます。

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