
海外の離婚判決の効力
海外の離婚判決の効力
1.海外の離婚判決の効力について
海外での裁判所の確定判決が日本国内で効力を有するか否かについては以下に示している通りで
①当該外国裁判所に本件離婚についての管轄権が認められること
②敗訴した被告が公示送達によらないで訴訟の開始に必要な呼び出しなどの送達を行けるか、又は応訴したこと
③判決の内容及び訴訟手続きが日本の公序良俗に反しないこと
が要件として民事訴訟法という法律に記載されています。
海外での離婚と同時に日本での離婚も成立するわけではない
上記で説明しています①の管轄権が認められるかどうかは、日本の国際裁判所管轄の原則では、被告の住所地に管轄を認めていますので、妻が離婚するまでに外国に住んだことがないのであれば、この要件を満たさない可能性があるので要確認事項であると言えるでしょう。
②の送達については判決国と日本との間の司法共助に関する条約に定める方法を順守するものでなければならないとされています。
2.戸籍への記載
外国の裁判所の離婚判決に基づく離婚届の受理に当たっては、判決の謄本、判決確定証明書、日本人の被告は呼び出しを受け又は応訴したことを証する書面並びにそれらの訳文の添付を求めるものの、離婚届に添付された判決の謄本等によって審査して、当該判決が民事訴訟法118条に定める要件を欠いていると明らかに認められる場合を除き、届出を受理して差し支えないとされています。
日本で離婚届けが受理されてしまった場合には、日本の裁判所に外国の離婚判決の無効確認の訴えを提起して、これにより離婚の効果を争うことになります。
3.外国離婚判決についての無効確認の訴え
承認されない外国の裁判所の離婚判決であれば、外国の裁判所での離婚判決の無効を確認することになります。
裁判の形式としては、外国判決無効確認の訴えがまず考えられますが、夫婦関係存在確認の訴えなど、違う形式での訴え・方法による場合も考えられます。
そのうえで、離婚自体は希望しているが離婚するための条件に不満がある場合には、改めて日本で離婚訴訟を起こすことも考えられます。
4.外国に存在する相手方との訴訟
離婚事件の国際裁判所管轄については、原則としては被告(訴えられた人)の住所地を裁判管轄としていますが、原告の住所地である日本に国際裁判管轄権を認める例外的な場合として、
①原告(訴えた人)が遺棄された場合
②被告(訴えられた人)が行方不明である場合
③その他これに準ずる場合を挙げています。
被告が日本に住所を有しない場合であっても、原告の住所その他の要素から離婚請求と日本との関連性が求められ、日本の管轄を肯定すべき場合があるとし、どのような場合に日本の管轄を肯定すべきかについては当事者間の公平や裁判の適正・迅速の理念により条理に従って決定するのが適当であるとした最高裁判決もあります。
5.外国への送達
訴訟を提起することができる場合には、外国にいる被告に対して到達する必要があります。
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