子の奪取

子の連れ去りが黙認される異常な日本

日本では問題になるものの犯罪にはならない子の連れ去り

日本でも問題になっている子供の連れ去り問題。

日本以外の海外の国でも子の連れ去りは問題になっていますが、日本の場合には子を連れ去ってしまうと現在は事実上連れ去った親の方が養育実績なども含めて調停から裁判まで行って揉めた場合に有利になるという、一般的な常識の感覚ではおかしいのではないかといったことになっています。

日本はハーグ条約の義務不履行国の1つに認定されている

日本が国際的な条約でもあるハーグ条約の義務不履行国の1つに認定されていることを知ったうえでまずはハーグ条約とは一体なんなのかについてを簡単ではありますが説明しておくことにしましょう。

国際結婚で子供のいる夫婦が離婚をした場合に、一方の親がもう一方の親の同意を得ることなく、自分の子供を自分自身の母国に連れて帰ることが数多く見られます。

連れて帰った親に関しては自分の子供と一緒にいられるのでいいでしょうが、一方的に子供を連れ去られた方の親にしてみれば言い方は悪いかもしれませんが、誘拐とあまり変わらない状態になるため、とりあえず話が決着するまでは子供を元々住んでいた国に戻すことというルールを決めています。

このルールを国際的な条約として制定しているのが上記でも挙げているハーグ条約というわけです。

日本はハーグ条約を2014年に批准していますので批准国であり、今年までに子供の連れ去りに対して23件の返還命令を出して見る限りでは条約を守っているように感じられますが、義務不履行国の1つに認定されてしまいました。

命令に従っているのはたった6件だけという事実

日本がハーグ条約の義務不履行国の1つに認定された理由は23件も返還命令は出しているものの、その命令に従ったのが実際にはわずか6件しかないといった事実から、強制執行の実効性が弱いということが義務不履行国の1つに認定された理由となっているようです。

返還命令を出しても実際に従う親はほとんどいませんから、裁判所などが強制執行をして変わりに子供を戻すなどをしなければいけないのですが、子供の親や親族の妨害によって失敗してしまうケースが日本が行っている強制執行ではほとんどのようです。

親への実力行使は現在の法律では困難という盲点

ハーグ条約実施法第140条には強制執行を行う執行官(裁判所から派遣される権限を持った人のことです)が立ち入ることが可能なのは原則的には、連れ去った親の住居か親が占有している場所となっています。

ですから強制執行をするために子供が通っている保育園・幼稚園・小学校などに行くことは例外としてしか認められず、この事実が強制執行を困難にしている1つの理由となっているようです。

また子供を戻す(解放)場合には親が子供と一緒にいるときに限られているということも強制執行を難しくしている理由でしょう。

単純な作戦ですが、親が問題が解決するまでの作戦として親族の自宅に子供を預けている場合には、強制執行をしたくてもそもそも子供と親が一緒にいないことになりますので、強制執行ができる条件すら整っていないということになってしまいます。

日本では上記のように明らかに法律に抜け穴があることが明らかなのですが、海外のケースでは親が子供を隠すような行為を行った場合には拘束されてしまうといった国もありますので、日本とは温度差がかなりありますよね。

法改正で海外なみになるか??

上記のような事実は問題であるとして、日本でも法制審議会で2018年の6月にハーグ条約実施法を改正するための案をまとめるなどして法律を改正して実際に運用できるものとして変えていこうといった動きはあるようです。

ただ、日本では日本人同士の夫婦の場合でも圧倒的に子供を連れ去った方が有利になってしまう現状があり、連れ去られた親が非常に困っているといったケースを寄り添う離婚コンシェルジュでも相談を受けていますので、一気に海外なみに強制執行をしやすく制度変更するということは、なかなか厳しいのではないかというのが現実ではないでしょうか。

最後に悩んでいるあなたへ

離婚の問題は1人で悩んでいては進まないケースが非常に多いものです。

心理学的なアプローチからも1人で考えるよりも第三者と話をすることで、自分の考えがまとまってくるということがありますので、まずはお気軽に相談いただければと思います。

お会いしてお話を伺うことで、現状のあなたに最適なアドバイスもできますし、お手伝いをすることもできると考えて居ます。

寄り添う離婚コンシェルジュでは依頼者の幸せを第一にサポートさせていただきます。

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