子の奪取

子の奪取について

子の奪取について

子どもは、父母の婚姻中は父親と母親の共同親権に服することになっていますが、父母が別居して共同監護ができない状態になり、かつ監護について父母間で意見が一致しない場合には、家庭裁判所に対して看護者の指定と子どもの引き渡しを求める審判を求めることになります。

子どもに差し迫った危険があるなど、裁判所の審判の確定を待っていては、逆効果となり目的を達することができないというような事情があれば、仮に子供の引き渡しを求める審判前の保全処分を利用することもできます。

これらの審判または仮の処分が出ても、相手方がその決定に従わない場合は、強制執行をすることができます。

法律には強制執行ができると記載されていますが、子どもに与える影響の大きさに問題があると考えられているために、乳幼児等の場合を除いては、一般には強制執行はなかなか認められないことが多いようです。

子どもを取り戻す方法として、地方裁判所または高等裁判所に人身保護請求の裁判を提起することもできます。

人身保護請求の特徴を抑えておきましょう

裁判所におこなう人身保護請求には3つの特徴がありますので、確認しておきましょう。

・手続きが極めて迅速であること
・相手方の出頭を確保するための身柄の拘束などの手段が用意されていること
・拘束者である子どもの引き渡しは裁判所によりなされること

共同親権者間の子の引き渡しをめぐる事件で、人身保護請求手続きによる救済が可能なのは、極めて限られた事案のみとなっていますので、本当に危機的な状況にあるときに利用できるものと理解しておくようにしてください。

夫のDV行為を原因として離婚したいと思い、4歳の子どもを連れて別居していたところ、夫が学校帰りの子どもを待ち伏せてつれて行った場合を例として見ていきましょう。

このケースでは、まず妻が家庭裁判所に対して妻自身を子どもの看護者に指定する旨の審判の申し立てをし、審判の申し立てと同時に、審判前の保全処分の申し立てを行い、その審判を得る必要があります。

そして、申立が認められたにもかかわらず、子どもの引き渡しが行われない場合には、最終手段として子どもの人身保護請求の申し立てを行うことになります。

おすすめ関連記事

ー親権と監護権の違いについて理解しようー
「親権と監護権の分離」

ー養育費はどのようにして決まるのか?ー
「養育費の算出方法」