子供と会いたいのは父親が多い
面会交流調停が増加傾向
離婚する夫婦が、子どもと会う回数を決めるために裁判所に調停を申し立てるケースが増えているようです。
2014年は約1万1千件で、この10年間で2・5倍に増えたことがわかりました。
離婚率は同じ期間でそこまで変化していないので、やはり子どもとの面会が必要だと考える親の意識が変化していきたということが大きいのかもしれません。
特に父親からの申し立ての増加が目立つことが面会交流調停の特徴と言えるのではないでしょうか。
この理由は日本ではもともと離婚する場合に父親が親権を取ることが極めて難しいという状況も反映しているでしょう。
実際に妻の方に離婚の原因があった場合でも慰謝料や財産分与では何も悪くない夫に有利になるものの、親権問題では離婚の原因を作ろうが作るまいが、日本の裁判所はいまだに母親の方が育てるのにふさわしいという既存の意識が強いように思われます。
背景には、離婚後も子育てに関わりたいという意識が父親に高まっていることがあると見ている専門家もいるようです。
「定期的に子どもに会える機会をつくれないと、片方の親の『連れ去り勝ち』になってしまう」。
調停で、子どもとの面会を求めている東京都内の40代の男性は話しています。
14年10月、妻が2人の子どもを連れて家を出た。
実家に戻った妻は、子どもに会わせることを拒否。男性は長男(8)の転校先を地元の教育委員会にも教えてもらえず、長女(6)の入学式にも出席できなかった。
昨年5月に裁判所内の面会室で30分間だけ会えたが、その後の話し合いは進まないままだ。
家庭内暴力(DV)があった、と主張する妻とは「感情論で対立するばかり」と男性。
希望は、月に1回は子どもと会えるようになることだ。
「会いたい気持ちは母親も父親も同じ。子どもは日々成長するのに、時間だけが過ぎて子どもとのつながりが薄れてしまう」と訴える。
最高裁によると、調停で離婚した夫婦の子どもの約9割は、母親が親権者になるのが現実です。
このような状況にあるために、父親が子どもと別居するケースが圧倒的に多くなるわけです。
子どもと離れて暮らす親が定期的に子どもに会う「面会交流」の回数は、離婚の際に夫婦間で決められない又は決めていない場合、家庭裁判所に調停を求めることができます。
このような離婚後になって子供との面会でお互いが揉めるようなことにならないように、離婚協議書などを作るのであれば、必ず子供に関しての面会の頻度や面会の是非などは後々のトラブルを防止するためにも必ず決めておくようにしましょう。
このときに注意するのは子供のために面会交流を行うのであって、離婚してからも会いたくないという夫婦の感情ばかりを先行させるようなことは控えるようにしましょうということです。
最高裁によると、面会交流の取り決めだけを求めた調停の申し立ては04年に約4600件だったが、11年は約8700件にまで増加しているデータが発表されています。
このほか、離婚調停の中で決めることもあります。
厚生労働省の統計によると、14年の離婚件数は約22万2千件で、10年前より約5万件減ったが、調停の申し立ては逆に増えているということです。
12年には民法が改正され、離婚の際には「子の利益を最も優先して面会交流を夫婦で取り決めること」が義務づけられました。
離婚届にも、取り決めをしたかチェックする欄が設けられたいますので離婚届を見る機会がある方がぜひ一度チェックをしてみてください。
この改正も影響し、13年には面会交流に関する調停の申し立てが初めて1万件を超え、14年は1万1312件にのぼり、この増加傾向は今後も続くと思われます。
特に、父親からの申し立ての増加が目立つ傾向にあるようです
14年の1年間に調停が成立するなどして手続きが終わった1万563件のうち、約7割が父親からの申し立てとなっています。
10年前の04年と比べると2・9倍で、母親の1・7倍よりも伸びが際立っています。
家裁の経験が長い裁判官は「父親の育児への意識の高まりから、妻と別れても子どもとのつながりを求める父親が増えたのだろう」と話しています。
面会交流に関する調停申し立ては約6割が成立するが、取り決めに強制力はないために必ず実現するとは限らないようです。
改正後の民法でも守られない場合の罰則はなく、取り決めがなくても離婚届は受理されてしまいます。
守らない親に金銭の支払いが命じられた例もあるが、金銭での支払いを命じても子供と会うという本来の親が求める希望が叶えられることにはなっていません。
離婚をめぐる協議では夫婦間の対立が激しくなる一方で、「子どもの利益」が置き去りになりがちになっているのが気になります。
争う夫婦に、まず「親としての責任」に目を向けてもらう取り組みを行うことが大切になるでしょう。
離婚は夫婦の問題で仕方のないことでしょうが、影響を子供にまで強く及ぼすようなことは辞めるようにお互いが考えて動きましょう。
面会交流の基本については「面会交流とはなにか?」をご覧ください。