
年金分割しても受け取れないこともある
離婚して年金分割する際の気を付けるべきこと
question:離婚してもすぐに年金は分割されないの?
サラリーマンの夫は55歳で、妻の私は61歳ですで結婚して30年ほどになります。
離婚をしたら、夫の厚生年金の分割をしてもらいたいのですが、年金を分割するまでには何年か待つ必要はあるのでしょうか?
結婚時は私も働いていましたので、結婚してから5年間は共働き夫婦でしたが、その後は専業主婦になって現在に至っています。
answer:年金の原則を理解しましょう
年金を受け取るには原則として、65歳になってないといけません。
例外的なものとして、60歳以降に年金を前倒しすることのできる年金の繰り上げ受給制度というのもありますが、繰り上げ受給をしてしまうと、本来貰える年金額からは減額されてしまうことになります。
老齢年金を受け取るために重要な要件は、受け取る方自身が年金に25年以上加入していることが大切です。(最近の法改正で年金受給までの支払い期間を10年に短縮しようといった案も国会では出ています。)
年金加入期間が不足していると、年金分割を行っても、年金を受け取ることはできません。
配偶者(夫または妻)から分割された厚生年金の保険料納付記録の期間を、自分の受給資格期間に加えることができませんので、離婚して年金分割にまでこぎつけたのに、離婚後に貰える年金額は1円も増えないということになってしまうのです。
年金分割の際に注意するべき事項2つ
ここでは年金分割の際に注意してほしい点を2つ挙げておきますので、実際に分割する際にはチェックするようにしてください。
①離婚時みなし被保険者期間
離婚時みなし被保険者期間は、年金の受給資格期間には入らないので十分に注意をしてください。
離婚時みなし被保険者期間というのは、配偶者からの厚生年金分割が決まったことによって、自分自身が厚生年金に加入していなかった期間についても厚生年金の被保険者であったとみなされる期間のことを言います。
今回の例ですと、結婚してから専業主婦になるまでの5年間が、このみなし期間には入らないことになるのです。
②加給年金額と振替加算の関係
加給年金額と振替加算の関係についても注意をしなければいけません。
今回の事例では20年以上厚生年金に加入していた夫には加給年金額がプラスされることになります。
加入年金額は妻であるあなたが65歳になるまでであって、妻が65歳になって以降は妻自身の年金に対して追加されることになり、この金額のことを振替加算と呼んでいるのです。
振替加算の金額については、妻の生年月日によって変化してきます。
例え妻が65歳以降で振替加算がプラスされるようになってから離婚したとしても、振替加算がゼロになることはありません。
逆に妻が65歳未満で離婚してしまうと、振替加算はなかったことになりますので、気を付けて行動するようにしましょう。
こちらの内容も参考にしてみてください➡「子供の手が離れたのを契機に離婚したいが拒否される」