離婚の合意書

離婚の為に慰謝料不要と合意書にサイン

離婚したい一心で財産も慰謝料も不要という合意書にサインしましたが解消できますか?

夫と最近、協議離婚が成立しました。

私は、長年にわたって夫に苦労させられ、我慢の限界に達していましたので、とにかく一刻でも早く離婚したいという気持ちで、財産分与も慰謝料も全ていらないので、とにかく一刻も早く別れてくださいといってしまいました。

すると夫の方から、それなら離婚には争わないで応じるので、争わない代わりとして「財産分与と慰謝料は離婚した後も一切請求しませんという内容の合意書にサインをしてほしい」といわれました。

私は、その時はとにかく早く別れたかったので、合意書にサインさえすれば夫との苦労ばかりの結婚生活を終了させることができて、別れることができるのであればと思い、合意書にサインと押印を何も考えずにしてしまいました。

離婚後に、同じく離婚の経験のある友人にその話をしたところ、慰謝料はともかくとして財産分与は結婚していたのであれば請求できる権利があるのに、別れることばかりに焦りすぎてもったいないことをしたねと言われてしまい悔しい思いをしています。

離婚が成立した今から合意書を白紙にして、元夫とお金の交渉をすることはできるのでしょうか?

合意書にサインしてしまった後では基本的には請求することは不可能です

通常ですが、離婚後の財産分与は2年間、慰謝料は3年間の時効が存在しています。

ですから、時効が成立するまでは、離婚時に慰謝料などが請求ができなかったとしても、時効の期間内であれば離婚後であっても財産分与も慰謝料の請求をすることは可能です。

しかし、今回のケースでは、離婚時に財産分与も慰謝料も請求しないという合意書にサインして離婚したということがポイントになります。

合意書そのものは、公証役場で公証人の方が作成する公的な性質をもっている公正証書とは違い、法律的な強制力はありません。

しかし、裁判で慰謝料や財産分与をあなたが請求した場合に、その合意書の存在を主張されれば当然ながら不利になってしまいますので、夫に財産分与と慰謝料分のお金を請求することは、あなたのケースの場合では難しいといわざるを得ないでしょう。

今回のケースのように、離婚をしたいという気持ちが頭でいっぱいのときには、とにかく離婚さえできれば何でもいいということで、多少は自分に不利な条件でもそれで離婚ができるなら我慢しようと、条件を飲んでしまい、離婚後に冷静になった後で後悔してしまうという場合も多々あります。

特に、調停や裁判などの第三者が介さない協議離婚での場合には、合意書や念書の意味があまりわからないまま離婚できるならということでサインしてしまうことがあるようです。

一方が離婚したい気持ちだけで頭が離婚のことしか考えられない状態であっても、もう一方が戦略的に離婚に向けて動いてきていることもよくあることであると、考えて行動する必要があるのです。

離婚をしようと考えている相手から文書など形に残るものを提示された場合にはその場ですぐに判断せず、いったん持ち帰ってから冷静になって考えてみることが非常に大切なことになるでしょう。

また、離婚協議書をつくるのであれば、専門家に相談して夫婦の状況を説明し、離婚協議書の案を作成してもらうことで、冷静に状況が分析できることもあります。

当然ですが、作成する離婚協議書は公正証書による離婚協議書にしておくことは寄り添う離婚コンシェルジュとしてはいうまでもないことです。

同じ離婚協議書でも単に2人で同意したものと、公正証書にしたものでは重さが違うのです。

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