
離婚後の在留資格
離婚後の在留資格(ビザ)
日本人と結婚して日本に住んでいる外国人には、「日本人の配偶者等」の在留資格が認めれれます。
夫婦仲が悪くなって、別居中であるとか、離婚調停・離婚訴訟の継続中である場合には、日本人の配偶者から在留資格の更新手続きに必要な協力が得られないため、「日本人の配偶者等」の在留資格が不許可にされることがあります。
「日本人の配偶者等」の在留資格は法律上有効な婚姻関係があるというだけでは認められるものではなく、夫婦が同居・協力という婚姻の実質を伴うものでなければなりません。したがって、日本人の配偶者であるという身分を有する外国人であっても、婚姻の実質を欠くようになった場合には、当該外国人は「日本人の配偶者等」の在留資格に該当しなくなるのです。
「日本人の配偶者等」の在留資格をもって日本に在留するためには、単にその日本人配偶者との間に法律上有効な婚姻関係にあるだけでは足りず、当該外国人が日本において行おうとする活動が日本人の配偶者の身分を有する者としての活動に該当することが必要となるのです。
実質的な日本人の配偶者とはどのようなものかとして示された例を見てみましょう
日本人の配偶者の一方的な遺棄や婚姻関係の冷却化によって、同居・協力・扶助等の活動が事実上行われなくかっている場合であっても、いまだその状態が固定化されず、なおその婚姻関係が維持、修復される可能性があるなど、その婚姻関係が実態を失って形骸化しているとまでは認めることができない場合には、当該外国人は、同居・協力・扶助を中核とする婚姻関係に付随する日本人の配偶者としての活動を行う余地があるというものであるとして、別居後1年10か月経過した時点での「日本人の配偶者等」の在留資格の更新申請に対する入管の不許可処分を取り消した判例があります。
日本人配偶者と一定期間にわたって別居していたが、その間日本人配偶者から提起され婚姻無効確認訴訟において婚姻関係が有効であることが判決で確定し、また日本人配偶者かれ提起された離婚請求訴訟について応訴していたことが日本人の配偶者の身分を有するものとしての活動に該当すると見ることができないものではないとした判決があります。
身分上有効な婚姻関係があれば、その婚姻関係が必ずしも正常な状態になっていない外国人であっても適式の離婚手続きによって婚姻関係が解消されない限り、それだけで「日本人の配偶者等」の在留資格該当要件を充足しているとする見解をとる判決もあります。
離婚が成立するまでは「日本人の配偶者等」の在留資格の更新の可能性があります。
離婚が成立しても、既に取得している在留資格が直ちに消滅するわけではありません。
離婚成立後はもはや日本人の配偶者ではありませんので、在留期間が満了した場合には「日本人の配偶者等」の在留資格を更新することはできません。
日本に住み続けるためには在留資格の変更が必要になります。
変更後の在留資格としては、入管法に規定する在留資格を取得する要件を満たしていればその在留資格への変更を申請することになりますjが、該当するものがない場合には、「定住者」への変更を求めることになります。
「定住者」の在留資格は、「法務大臣が特別な理由を考慮し、一定の在留期間を指定して居住を認める者」という在留資格です。
日本人と離婚した外国人も、日本での在留期間などの生活実績が考慮されて、この在留資格への変更が可能な場合もありますが、在留期間が相当長期にわたり、仕事や生活などの面でも日本との関連性が相当強いことが必要になると思われます。
もし夫との間に子どもがいて、離婚後その子どもを引き取って育てる場合には、「日本人の実子を扶養する外国人親の取扱いについて」の通達により、定住者の在留資格が認められます。
未成年かつ未婚の実子を扶養するため日本への在留を希望する外国人の親については、その親子関係、当該外国人が当該実子の親権者であること、現に当該実子を養育、監護していることが確認できれば、「定住者」(1年)への在留資格の変更は許可されます。
ここで、日本人の実子とは、嫡出、非嫡出を問わず、子の出生時点においてのの父又は母が日本国籍を有しているものをいいます。
実子の日本国籍の有無を問うことはありませんが、非嫡出子の場合は、日本人の父親から認知されていることが必要となります。
こちらの内容も参考にしてみてください➡「外国人との離婚手続き」