離婚裁判

相手が裁判で決まった約束を守らない場合

裁判で決まっても約束を守らない相手もいる

事例:相手が裁判で決まった金銭を支払わない

離婚裁判で、扶養的財産分与の決定が下されました。

しかし、裁判が終わったというのに、金銭が振り込まれたのは最初の3回までで、それからは一向に元夫から振り込まれることはありません。

まだ連絡をしようにも全く音沙汰がありませんので、これからどのような方法をとって元夫に請求したらいいのかわからなくて困っています。

私はどうしたらいいのでしょうか?

答え:裁判で決まっても払わない人は一定数いることを理解しておきましょう

裁判には強制力がないことは理解しておこう

離婚裁判で慰謝料や財産分与の決定が判決に盛り込まれたとしても、実際に判決内容に従って支払いをしないパターンは残念ながら少なからず存在しています。

理由は裁判で決まったことを守らないからといって、裁判所が元夫に対して支払いなさいと強制的に金銭を取り立てるようなことができないからなのです。

特に事例にあるような、扶養的財産分与が裁判で決定された場合というのは、元夫があなたに対していかにひどい仕打ちをしていたといった事実が裁判で白日の元に晒された結果として、裁判所から元妻に対して離婚後も扶養的財産分与として一定額を定期的に支払うようにといった決定が下されたものになります。

裁判で決定が出された以上はもうどうにもならないだけに、支払いを命じられた元夫としては、妻のあなたに対して相当に怒りを感じていて払わないでいいものなら絶対に払いたくないと考えている可能性は大いにあるでしょう。

裁判所の決定に従わない人への対応策

ここからは裁判所の決定があるにもかかわらず、その決定を無視して従わない人に対しての対応策を見ていきます。

ある程度の期間を経過しても、相手が約束を守らないことが分かった場合には、まずは内容証明を相手に送って、裁判で決定した金額をちゃんと支払うようにという内容を送るようにしましょう。

この1通目で支払ってくれれば全く問題ありませんが、支払わない可能性が高いでしょうから、その場合には履行勧告または履行命令をお願いすることになります。

◆履行勧告
履行勧告というのは、裁判で決定した義務を履行(守らないという意味です)しない相手に対して家庭裁判所が義務の履行状況がどうなっているかを調査してから、義務をしっかりと果たすように相手に勧告をするものになります。忘れてはいけないこととしては履行勧告には強制力はないということです。

◆履行命令
履行命令というのは、家庭裁判所が決定した期限内に、相手が課せられた義務を果たすように命令を出すものになります。履行勧告との一番の違いは履行命令には強制力があり、履行命令に従わない場合には法律で定められている10万円以下の過料(罰金のようなものと考えておいて問題ありません)の支払いを求められることになります。

最後の手段である強制執行

履行勧告にも履行命令にも相手が全く動かなかった場合には、最後の手段として強制執行を行うことになります。

強制執行を行った場合には、裁判所が執行官を派遣するなどをして相手(事例では元夫です)の資産や財産を差し押さえるなどの手段をとることになります。

差し押さえを行った資産や財産が金銭だけはなく、土地や建物のような不動産やクルマなどの場合には、差し押さえたものを売却して、その代金から裁判で決定した金額があなたに支払われることになります。

強制執行するまでには、いろいろと交渉したりと方法があるとは思いますが、相手が実際に支払うことができるのかできないかも見極めたうえで、支払う能力がありながらも支払わない場合には、最後は強制執行までいくことも覚悟したうえで動くようにしてください。

相手に財産を隠されたり処分されてしまうと危険ですので、気が付いた場合にはすぐに行動を起こすことも重要であると言えるでしょう。

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