再婚と養育費

再婚に伴う養育費負担義務

再婚に伴う養育費負担義務

子どもを連れて再婚しても再婚相手と連れ子との間には当然には親子関係は発生しません。

再婚相手と連れ子が養子縁組をして初めて法律上の親子関係が発生することになります。

子連れで再婚すると、新しい配偶者との間に自動的に親子関係が発生すると思われがちですが、親子関係が発生するかどうかに関しては相続の時にもいろいろな問題として絡んできますので、遺産分割の時にどのようにしようかなども考えて手続きを行うのか行わないのかを判断するようにしてください。

養子縁組は子どもの福祉のためを基本理念としており、養子縁組により子どもは養親の嫡出子としての身分を取得しますので、養親が未成年の養子に対して扶養義務を負うのは当然ですが、それにより実親の扶養義務が当然になくなるわけではありませんので注意をするようにしてください。

通常は再婚により子どもは養親と共同生活をしながら扶養されることになりますので、子どもに対する関係では法律上は養親と実親はお互いに扶養義務者ではあっても、その順位は養親が一次的、実親は二次的な義務者になると考えられているのです。

裁判所で判断された例から形を理解しよう

これまでに示された例を以下でいくつか紹介していきますので、ご自分に当てはまるかどうか考えてみてください。

事例①
離婚し、父母双方が離婚後別の相手の再婚し、子どもが再婚相手と養子縁組したケースで、実父からの養育費減額請求に対して事情の変更を理由に請求を認めた審判例があります。

事例②
子どもが母の再婚相手と養子縁組をしたのちに、前夫に協議離婚の際に定めた養育費の支払いを求めたケースで、前夫は母や養父に劣後する扶養義務を負うにすぎないとして、前夫に対する養育費の請求を却下した審判例があります。

再婚相手が子どもと養子縁組をしない場合は、前夫が子どもに対して第一次的な扶養義務を負うことに変わりはありません。

しかし、そのような場合でも、再婚相手が子どもの養育費を含め、新しい家族の生活費全般を負担するようになった場合には、養育費を取り決めた離婚時に予測し得なかった個人的、社会的事情の変更があるとして前夫の養育費減額請求が認められる可能性があります。

再婚相手と連れ子との養子縁組の有無にかかわらず、再婚により子どもの養育費が問題となった場合には、実親の養育費の負担額は再婚後の家庭の状態、扶養義務者の社会的地位、経済的余力等といった様々な事情を考慮して、改めて決定されると考えていいでしょう。

こちらの内容も参考にしてみてください「協議離婚後の養育費の支払い遅滞」