
退職金を差し押さえることはできる?
まだ手元にない退職金を慰謝料として請求したい
question:差し押さえはこれから受け取る退職金にも有効か?
結婚するまでは、フルタイムで働いていましたが、結婚して妊娠を契機として、私は家庭で子育てに専念することになり、子供の手が多少離れたあたりからパートとして働いていました。
しかし肝心の夫の方は家庭にお金を入れなくなってしまい、ついには勝手に自宅から出ていってしまいました。
私としてはもう修復することは不可能でしょうから離婚をして慰謝料を請求したいと考えていますが、請求する相手である夫に預金や株式などの財産がほとんどないので困っています。
もう何年かで夫は退職することになるのですが、これから支払われることになる退職金を差し押さえたりすることはできるのでしょうか?
answer:退職金が財産分与の対象になることもあります
離婚の時期が相手の退職間近であった場合であれば、退職金が離婚の際の財産分与の対象となることは十分にありえることです。
退職金が財産分与の対象となった場合に相手に支払う方法は2種類ありますので、確認しておきましょう。
①結婚期間をベースに支払う方法
離婚するときに、将来支給されると予想される退職金の金額を現在の金額に換算して、結婚していた期間に応じて支払い方法が1つの方法です。
②退職金が支給されたときに支払う方法
もう1つは、退職金が実際に支払われたときに、相手から支払ってもらう方法になります。
退職金を慰謝料として差し押さえる場合のリスク
退職金を慰謝料として差し押さえることができるかどうかについては、退職金が実際にいつ支払われるのかの見通しによって、良いのか悪いのかの判断ができるのではないでしょうか。
退職金が支払われるのが数か月後というのであれば、特に問題にはならないかもしれませんが、退職までにまだ5年以上あるなどの場合には、経済状況によっては勤務している会社が倒産してしまうといったリスクはどうしてもあるでしょうし、相手がそもそも退職時まで会社に勤務しているかどうかも不透明と言えますよね。
会社に対しては本人以外は交渉ができないでしょうから、相手が退職金の前借りをして、実際の退職時には既に何かに使用していて、予定されていた金額よりも大幅に少なくなってしまったといったことも考えられるでしょう。
1年以内などのように直近で退職することが確実なのであれば、裁判所に申し立てを行うといった方法もあります。
実際に差し押さえを認めるかどうかは裁判所の判断になりますから、必ずできるかどうかは断言できませんが、大きな会社の場合には差し押さえが認められたケースが過去の判例にはあるようです。
差し押さえができるかどうかわからないけど、できたらいいか程度の考えで裁判所を利用することもいいかもしれませんね。
差し押さえられたら相手は敵になる
注意しなくてはいけないこととして、退職金を差し押さえるような行動に出た場合には、差し押さえられた側は、あなたの敵になるということをしっかりと認識しておく必要があるということです。
特に熟年離婚の場合には年金分割の問題もあり、お金で揉めてしまう可能性が非常に高いだけに、年金に加えて退職金までと思った相手が、何も異議なしと応じる可能性は低いと考えて交渉に臨むようにしてください。
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