
退職金の受け取り
退職金の受け取り
日常の家事に関する法律行為について、夫婦は互いに他方を代理する権限を有しています。
しかし、退職金は、労働基準法上の賃金とされており、賃金の直接払いの原則等は退職金の支払いにおいても適用されますので、労働者本人しか退職金を受け取ることができません。
例え代理人としてであっても、妻が夫の退職金を受け取ることはできないのです。
しかし、代理人ではなく使者に対する支払いは労働基準法に違反するものではないとされています。
使者であれば、結局のところ権限を本人の代わりに行う代理人とは異なり、本人の意思を実行するための手足にすぎないものと考えられているので代理人は不可で使者は可となっているわけです。
代理人が使者かの区別は実際の現場で出くわすと非常に微妙なのですが、社会通念上、本人自身に支払ったのと同一の効果を生ずるかどうか、当該使者とされた者と本人の関係、本人ではなく使者が受け取る理由などによって代理人と使者の判断がされることになります。
夫が浮気相手と駆け落ちして居場所が全く不明な場合
夫が浮気相手(不倫相手)駆け落ちをして失踪中の場合は、夫と妻の利害関係が一致していませんので、妻が夫の使者として退職金を受け取るのは法律の考えからすると無理があるといえます。
退職金も通貨扱いが原則ですが、労働者の同意があれば口座振り込みに変更することもできます。
退職金の口座振り込みがあれば、夫名義の口座の管理については、夫婦の日常家事代理権の範囲内であり、通帳・印鑑等を妻が日常的に管理しているならば、金融機関から払い戻しを受けることができることになっています。
不在者財産管理人の選任を家庭裁判所に申し立て、あなた(妻)を管財人に選任してもらって、管財人として退職金を受け取ることが方法としては考えられることでしょう。
婚姻費用の分担の債務名義を根拠として、これにより退職金を差し押さえる方法も検討してもいいでしょう。
ただし本人に退職の意思表示がなければ、法的には退職は成立しませんので退職の意思表示については十分に注意しましょう。
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