離婚届

離婚届の提出はちょっと待って!

離婚届の提出はちょっと待って!まずは離婚協議書の作成を!

離婚という決断に至った時、「できるものなら明日にでも離婚をして、とにかく一刻も早く新しい生活を始めたい!」という焦りにも似た気持ちになってしまわれる方も多いかもしれません。

しかし、慌てて離婚届に押印をして提出する前に、是非やっておいていただきたいことがあります。

それは、双方が合意した内容の離婚協議書を作成して文書として残しておくことです。

「離婚協議書には、法的効力がないって聞いたけれど、離婚協議書を作成することに、どのような意味があるの?」と疑問に思った方もいるかもしれません。

次項では、離婚協議書を作成することの必要性について考えていきます。

離婚協議書そのものには法的拘束力は存在しません

書面上に記載されている事項を相手が一方的に無視したとしても、離婚協議書だけでは強制執行をおこなう事はできません。

財産や給与を差し押さえるといった最終手段に出ることができず、慰謝料や養育費などが踏み倒されてしまう可能性があるのです。(実際にデータとして特に養育費は最初は支払われていたものの数か月すると支払われなくなったという事例が数多く公表されています。)

しかし、強制的に差し押さえができないことを理由に離婚協議書が「作成しても約束を守らないなら必要がないものだ」と考えるのは早計だというものです。

離婚協議書の最大の作成目的は、少なくとも相手(元夫または元妻)が離婚協議書の中に記載されている内容に応じたという「証拠」を、書面の上で明確に残すことにあるのです。

形として残らない口約束では、相手に対して訴訟を起こす場合の証拠にはなりませんが(言った言わないの証明は証拠がありませんので悪魔の証明となり事実上不可能ですね)、離婚協議書という文書として形になっていることで、それを元にして「相手は約束を結んだにも関わらず、一方的にそれを破ったので訴えることにしました」と裁判に持ち込めるのです。

離婚を考えている段階では、なかなか離婚後のことにまで考える余裕を持つことが難しいということは、精神面を考慮しても本当によく理解できます。

また、離婚届を出す時は家族や友人の署名などがあれば、すぐ提出できてお役所が受け取ってくださるので、離婚協議書の作成から協議書を元にして裁判を起こすといった、法的な対応が必要だと思い至らない人も珍しくはありません。

しかし、離婚協議書の作成目的について正確に理解できれば、離婚協議書を作成して文書として残しておくことが、もしもの場合にどれほど自身の立場を守るために役立つものかは、分かるはずです。

離婚協議書はどのような作成すれば良いのでしょうか

まず、前提として離婚協議書作成においては、裁判ではお願いすることになる弁護士は勿論、夫婦以外の第三者の承認などは必要としていません。

離婚協議書は夫婦二人が納得して話し合えるのであれば、すぐにでも作成可能な書類なのです。

ただし、上記で解説した内容は、あくまでも前提であり、できれば行政書士を含めた法律の専門家に依頼して、法的にも誤りのない離婚協議書を作成することが、離婚後に余計なトラブルを防ぐためにもオススメの方法といえるでしょう。

例えば、内容が法律に反しているようなものだった場合は、有利に裁判を進められなくなってしまうかもしれません。

仮に「離婚してやるから代わりに慰謝料として1,000万円をよこせ」などという常識から外れた内容だった場合、相手から「不当な金額を請求をされている」という裁判を起こされてしまうかもしれません。

更に、書き方に不備があると、もし裁判になった場合に証拠としての重要性が薄まってしまう危険性もあります。

「離婚の時は考えなかったけれど、今になってみれば離婚協議書作成を考えておけばよかった」と後悔しないためにも、離婚協議書を作成する時は、行政書士などの専門家に対応を依頼することをおすすめします。

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