養育費

養育費の増額請求

養育費の増減請求

離婚の際に養育費を取り決めた場合でも、離婚の当時に予測し得なかった個人的、社会的事情の変更が生じたと認められる場合には、相手方に対し、養育費の増額ないし減額、支払期間の延長等を請求することができます。

離婚時に予測し得なかった個人的事情の変更とは、父母の勤務する会社の倒産による失業、親や子の病気、怪我による長期入院等です。

社会的事情の変更とは、物価の急激な上昇による養育費の増大等、物価変動や貨幣価値の変動があった場合を言います。

養育費の増額請求が認められるためには、個人的あるいは社会的事情の変更のあったことを前提に、請求の相手方において増額に応じられるだけの経済的余力(給与の増額や相続による資産の増大等)のあることが必要です。

相手方に経済的な余力がないのに養育費を請求したとしても、相手方の生活が破たんしてしまいますし、そもそも払う余力がないのがわかっているにもかかわらず請求するということもないと思います。

子どもの教育費は養育費の主要な部分です。私立学校等に入学する際の入学一時金や四年生の大学、短大、専門学校等のいわゆる高等教育についての教育費が養育費に含まれるかについては、親の社会的地位、学歴、経済的余力、子の学習意欲、家庭環境等、諸般の事情を考慮して個々的に決められています。

こういう事項も協議離婚の場合には離婚協議書に細かく盛り込んでおくと後で、双方で紛争状態になるような可能性が少なくなりますので、協議離婚のときはできるだけ協議書を作成(特に公正証書での協議書作成)をお勧めしています。

当事者間で協議が整わない場合は、家庭裁判所に調停を申し立てることができます。調停の場で改めて協議をしても元の夫が養育費の増額に応じない場合は、さらに審判に移行します。

家庭裁判所はどのような判断をするのか?

審判において、両親の社会的地位、学歴、経済的余力等を考慮して、元の夫が子の教育資金について相応の負担をすべきと判断されれば、養育費の増額や支払期間の延長が認められる可能性があります。

養育費の減額請求についても、請求が認めれれるためには個人的、社会的な事情の変更が必要なことは増額請求の場合と同様です。

減額請求が認められた事例は多くはありませんが、離婚調停時よりも父の収入が著しく減少したばかりでなく、再婚後の家庭の生活費を確保せねばならない等、生活状況が大きく変化したことが明らかであるとして、そのような事情変更を考慮し、調停で定められた父の養育費を減額変更した事例があります。

こちらの内容も参考にしてみてください「養育費とは?」